卒業までの「伴走者」でありたい

藪 恵理 (愛知県・石川県)

「どう生きるか」という難問

  何を職業として選び、どこに住み、何を着て、何を食べて生きていくのか。私の仕事は、入学したとたん目の前に現れる「どう生きるか」という問いの答えを見つけるためのサポートです。

就職に悩む学生さんたちに出会うと、いつも「夜明け前」という言葉を思い出します。最初の仕事を決めるというチャレンジを前にして、今の学校教育の中にある「人生の図鑑」には解説も種類も足らないのです。真っ暗な場所を、わずかな灯りで歩くようなもの。

私の講義は、その準備運動となる課題を軸に進みます。すべての講義では、「対話すること」が基本。私の役割は、多様な人生を歩んだ素敵なゲストスピーカーに「どう成功したのか」より、「どう失敗したのか」「どう挫折に向き合ったのか」なんて質問をぶつけることです。

聞いて、話して、また考える。その対話の繰り返しこそが、学生さんたちはもちろん、講義に関わるすべての人たちに新しい気づきを与えてくれるのです。

講義室の外を見ることを忘れない

私が講師として学生さんたちに接することができるのは、週に一度たった90分、一講義あたりたったの90分*15回=1,350分。

その時間を充実させるために最も大切なのは、「キャリア指導室」へ足を運ぶこと。キャリア指導室の先生方から、学生さんたちが今直面している問題、そして、学校として目指す方向を伺うことで、講義が形作られていきます。ときには、学生さんたちとの雑談がヒントを与えてくれることも。

この時間こそが、私が「キャリア教育コーディネーター」として過ごす時間でもあります。Coordinateは日時と人の配置を決めるだけ、ではありません。学生さんたち、そこに関わる人々の思いというパズルのピースを、いかに講義に組み込むか。ここでコーディネーターとしての力量が問われるのです。

卒業というスタートを切る前の学生さんたちにとって、そして学校にとっての「伴走者」でありたい。いつもそう考えています。  


【プロフィール】

愛知みずほ大学・短期大学部 非常勤講師。

大学院修了後(教育学)、人材サービス会社にて若年層向け研修業務に携わる。2014年より同校の就職支援業務に携わり、2015年より非常勤講師任用。

2016年に石川県転居後、愛知・石川での活動を開始。

<事業実績>

大学2年次必修「就職のための戦略」、短大1年次必修「ロジカルシ ンキング」キャリア指導室主催 就職支援講座(大学生のための国語教室、自己PR作

                 成、ビジネスマナー等)