ビジネスプランコンペをゴールにPBLを!

松倉 由紀(東京都)

授業は10回だけ?!

 「キャリア甲子園(マイナビ主催)に応募するための授業を作りたいんです」・・・2015年の春、聖学院高等学校の先生から、お問い合わせをいただきました。「短期PBLプログラムガイドライン(草稿)」を公開したことがきっかけでした。実際のビジネスプランコンペを活動のゴールにしたい。でも、活動はあくまで授業としてやりたい。効果的な授業の組み立ての相談にのって欲しい・・・と。しかし、授業は50分×10回のみ。大きな制約条件の中でのカリキュラム開発でした。

 こうした企画提案の活動は、制約条件が少なければアイデアの自由度は高まる反面、時間がかかります。また、無意味に生徒を迷わせては、授業として成り立ちません。アイデアの「発散」と「収束」の範囲を調整する必要があり、それはテーマ設定に左右されます。そこで、複数ある企業のテーマから、まずは、「ターゲットが明確なものを選択しよう」という決断をすることに・・・

 

ホンモノの商品開発プロセスを

 先生と意見交換をしながら作ったカリキュラムと教材を使い、授業はほぼすべて先生が進行しました。少ない回数の中でも、先生がこだわったのは「企業の商品開発のプロセスを、できる限りそのまま体験させたい」という点。そこで、コンビニスイーツを題材として商品開発の体験ワークショップを皮切りに、「ターゲット設定」や「ニーズを探る」活動を取り入れました。校内で先生にインタビューをしてみたり、競合他社を調べてみたり、「本当に買うか」友達にヒアリングをしてみたり・・・。こうした活動は、「自分と違う他者の視点」に気づくことができ、その中から課題を発見する力の養成にもつながります。

 そして「キャリア甲子園2015」では、2クラスのうちの1チームが、決勝大会に出場!惜しくも優勝は逃しましたが、そんな先輩たちのプレゼンテーションは、今年度の後輩たちにとっての目標ともなり、さらにグレードアップするための刺激ともなっています。     


 【プロフィール】

大手通信教育会社・人材派遣会社を経て、2008年から、キャリア教育コーディネーターとして活動。企業による出前授業プログラム・教材の開発・実施コーディネート、PBL型・体験活動型キャリア教育カリキュラムの構築を行う。 

<事業実績> キャリア教育コーディネーター養成(ソシオエンジン・アソシエイツ)/練馬区「アニメ産業と教育の連携事業」 事業推進/キャリア教育プログラム「イベプラ」(NPO法人ブラストビート)開発

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