自立できる子どもを地域で育むキャリア教育

高野幸代・吉田あつ子 ( 岐阜 )

地方創生から生まれたキャリア教育

 

 「子供たちと社会をつなぎ、郷土愛を育みたい」。町民の声から地方創生事業として始まったキャリア教育。行政にコーディネーターとして私たちは雇用され、地元の中学と高校でキャリア教育の支援を行っています。

当初、中学校へ「コーディネーターが職場体験の先生負担軽減のため事業所との連絡調整を行います」と、働きかけましたが、学校に居場所はなく、先生には「コーディネーターは何者?」という中でのスタートでした。

まず、私たちの立場や町のキャリア教育の方針、職場体験の意義など説明に事業所を訪問しました。事業所には「先生じゃないの?学校行事じゃないの?」と戸惑いもありましたが、「何か作業をさせておけばいいのかと思っていた。対話の時間も深めるのですね」など、子供たちとの関わり方を少し理解したとも言われました。

次第に、コーディネーターの存在が事業所にも先生にも認知され、2年目からは、学校内に席を置くことができ、先生との連携が密になりました。職場体験の事前事後学習の外部講師の講話は生徒に新鮮で、より体験が深まりました。講話内容は先生にも刺激があり、ポイントをすぐに廊下に貼り出した方もいました。マナー講座・まとめの講話など先生から外部講師の依頼をされるようにもなりました。校長先生とも話す機会が増えました。

校長の思い「15のREAL」の実現へ

 

校長先生の「なぜ学習するのか、高校へ行くのか、将来への夢や志をもつことができる講話や体験活動を全学年で取り組みたい」、「3年生には様々な職業の方の話を聞かせたい」という思いを知り、「15のリアル」を行いました。講師は、社会でいきいきと活躍する大人15人。「働く」とは、「やりがい」とは、「挑戦する」とは、「15歳のとき思っていたこと」を座談会形式行いました。生徒は「将来を真剣に考えたい。今から目の前のことを頑張る。どの仕事も社会にとって大きな支え。将来、地域に貢献できるよう自分の夢を見つめ直す」など感想を持ちました。

池田高校では、各界で活躍されている大人を取材し、記事にして発表する「なりたい自分に近づくチャンスプログラム」や外部講師による講話を行いました。

子どもたちは地域の大人と話し、ふれ合うことで学校にはない発見や感動を得たようです。先生の思いに添い、地域の大人との関係づくりがコーディネーターの大事な役割だと事業を通して実感しました。学校教育にコーディネーターの必要性が認められることも、今の私たちには大切な役目です。子どもたちが将来、「中学や高校で地域の方にお世話になった。地元はいいな」・・と思い出してくれることを夢みて活動していきたいと思います。


【プロフィール】

2015年町の「キャリア教育コーディネーター」育成事業として学校教育課に雇用され、NPO法人アスクネットの「育成研修」に参加。2016年資格取得。池田中学校に在籍し、主に池田中学校、池田高等学校においてキャリア教育コーディネーターとして活動。

<事業実績> 

職場体験の支援、「池中15のREAL」実施、「なりたい自分に近づくチャンスプログラム」の支援、外部講師提案

参考HP: http://www.town.gifu-ikeda.lg.jp/0000001007.html

E-mail: ikeda-kyouiku@ikedanet.jp